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オレ、何かした?! そう思うほど、男はめちゃオレを睨む 怖ぇよ 「大丈夫?」 それでもやっぱり心配だから、差し出したハンカチをくいくいとすれば 「余計なことすんな」 「は?」 「勝てたのに」 いやいやいや どう考えても、勝てるような人数じゃないし なんて言えるわけでもなく だからと言って、このままここから去るわけにもいかない 「ケガしてるよ」 「当たり前だろ」 「痛いでしょ」 「はぁ?!」 「立てる?」 「だから!」 不機嫌な顔で睨まれるけど、こいつのことほっとけない あいつのお人好しが移ったのかな? なんて少し可笑しいと思いながら、男の腕を掴む 「手当しなきゃ」 「うっせぇって言ってんだろ!」 頑として動こうとしない男に今度はオレがキレる 「そんなケガしてたら、ほっとけるわけねぇだろうが!大人しく人の好意を受け取れ!」 オレに怒鳴られた男はぽかんとした顔をする そんな男に、オレはにっこりと笑って 「痛くしないようにするからさ」 そう言って、オレは男の腕をぐいとして立ち上がらせる 「ちょっと歩くけど、足は大丈夫?」 「え?ああ」 「そっか。じゃ、うちに着くまでコレで傷口抑えとけよ」 さっき受け取らなかったハンカチを差し出せば、今度は素直に受け取り、傷口に当てる 「そうやって素直にしてればいいのに」 「うっせ」 なんだか少し赤い顔した男が可笑しくて、くすくす笑いながら歩き始めた
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