1.領主ひとすじの狼が壁尻モブレされる話

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「っ、ぅ……ぅ、ぐ、う、はっ、あっ」  犬歯が唇に食い込むほど歯を噛みしめても、体を中から圧されれば息が漏れる。鋭い聴覚は体同士がぶつかる音をしっかり捉えてしまう。  ペチペチいう音が屈辱的で、ルフの目に涙がにじんだ。向こうからは絶対に見えないという確信で油断したのかもしれない。 「う、うう、ぁっ、うっ」 「ルフ」  うなだれた頭を跳ね起こせば、ぼやけた視界に見知った姿がある。
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