1.領主ひとすじの狼が壁尻モブレされる話

32/40

106人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「な、泣いているのか」 「そんなわけない」  悪意なく不意に暴露された動揺で、否定する声が涙ぐんで揺れた。こんな理不尽に屈することなどないと、誇り高い狼の姿を保っていたかったのに、これでは助かったのか貶められているのか分からない。 「引っ張ろう」  しごくまっとうな提案をした領主が、壁から生えたルフの上半身、脇の下に腕を差し込んだ。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加