1.領主ひとすじの狼が壁尻モブレされる話

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「……っ」 「わ、悪かった、痛めたか」  服越しに当てられた手甲の冷たさに息を止めると、領主はあわててそれを脱ぎ捨てる。肉のやわらかさを取り戻した腕が、ルフの頭ごと体をぎゅっと抱きしめた。街でルフのことをこんな風に扱うのはこの人だけだ。覚えのある石けんまじりのほのかな体臭と温かさでほっとして、急に小さな頃に戻ったように鼻をキュンキュン鳴らしてしまう。 「引っ張るぞ」 「っ、んっ」
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