1章:くっ、中世のくせに意外と不便じゃない・・だと

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 お父さんのところで野菜を食べて帰ろうとしたときのことだった……。 「おにぃ! 西の森ちょっと入ってみたい!」  妹がわがままを言う。 「だめだよ、森は危ないよ。怖いモンスターに食べられちゃうよ~」 「ぶー、森はいったらすぐ出るもん。危なくないもん」  僕はここで間違った選択をしてしまった。  お父さんの職場に戻って緊急用の案山子連絡用の魔石をかりて、これで問題ないと思ってしまった。  夏よりも高い青空の下僕は妹と森に向かって歩く。  妹の初々しい反応が楽しかった。  途中灰色の肌をしたお父さんらしい人と一緒に僕たちより小さな子供がいた。挨拶をすると、挨拶を返してくれた。小さいのにしっかりした子だな……。妹も、もう少ししっかりしてくれればいいな。  でも、もう少し、僕が勉強で忙しくなるまでは僕に甘えてほしい……。  しっかりするのはその後でいいかな………。  そう思いながら森に足を踏み入れた。  すぐに『パン』と乾いた音と一緒に僕の右足が熱くなった。  僕は魔石を使うのを忘れ、恐怖に足をすくませる妹に叫んだ。 「逃げろ!! たのむ逃げて!!!」
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