1章:くっ、中世のくせに意外と不便じゃない・・だと

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領都グルンド在住とある兄妹の視点――――――――――――――――――――  僕はノア・ルルジス。11歳です。  来年幼年学校を卒業し農業学校へ進学予定。  いつかは研究所でルカス様がやったように美味しく、みんながおなかいっぱい食べられるような研究を成し遂げたい。  ルカス様は本当にすごい。この農業都市ですら【30年前までは食べるのに困っていた】らしいのに、今では食べ物が豊富にある。お爺ちゃんやお父さんにとっては【神様みたいな人】なんだって。僕が『どうやったの?』って聞くとお爺ちゃんとお父さんは『ルカス様の必殺農業魔法で『どーん』ってやったんだ』って答えるのさ。『どーん』って何って聞いたら『どーんはどーんだよ。我々には理解できないぐらいすごかったよ』。……もう農業の神様でいいんじゃないかな………。  でもルカス様がすごいのは魔法だけじゃないんだ。才能のない僕達にも貢献できるよう、長い時間をかけ方法を確立する『研究』を推奨していたりしてるんだ。おいしいものをよりおいしくする改良とか、植物を病気に強くなるようにとか。捨ててたものを利用できるようにとか。  だからルカス様の農場で働いているお父さんもすごいんだよ。僕も将来ルカス様のお手伝いがしたい。皆が笑顔になるものを作りたい。そう思っている。  さて今日は学校が休みなので父の職場にお昼を届けに行きます。普段はルカス様がふるまってくれるそうなのだけど、本日はルカス様がいらっしゃらないのでお弁当が必要なようです。そういえば3日前に北の森の魔王領のほうから危険生物が流れてきたと張り出しがあった。魔物討伐に向かわれたのかも。 「おにぃ! お父さんの職場だよ!」  4つ下の妹ルルカがはしゃいでいる。街を出るのも初めてなんだ当然か……。可愛らしい。  お父さんにご飯を届けた。  周りの人が『これ食ってけ』と野菜をくれた。さすがルカス様の農園おいしい。お父さん、いつもこれをまかないで食べてるの?ずるくない?お土産に持って帰ってくるべきだと思う。
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