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「何をしている下郎!」
裂ぱくの気迫と共に権三郎の剣がエルフさんの腕を切り飛ばそうとします。
しかし直前で止まってしまいます。
知っています。迂闊でした勝さん一号で目にしていたはずでした…‥。
…‥勝さん一号の記憶で見た、あのグルンドを襲った白竜がやろうとしていたのと同じ…………『結界魔法への干渉』です。
たぶん権三郎は魔法結界に全身をからめ取られて動けないのでしょう…‥。
ですがそれも一瞬です。
しかしその一瞬で、私は見たことのないさびれた街に転移していました。
「ようこそ、神の御子様」
目の前にいた髪の毛戦線が後頭部まで後退しきった壮年の太った白人男性がヒゲを触りながら言います。
「貴方を遣わした神の慈悲に感謝します」
ヒゲのおじいさんが膝を折り神への感謝を表明すると、後ろに控えた百名以上の部下たちもひざを折ります。
あっけにとられていると。
ガチャン
変な魔法道具を両手両足にはめられました。魔法力操作がうまくいきません。油断しました…‥。
「さぁ、救世主様。共に参りましょうぞ」
邪悪な笑顔を私に向けてきます。
どうやら、窮地に追いやられたというやつのようです…………。
(3章完)
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