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【恋のスピード】
「ううー、分かんない」
「その言葉はさっきも聞いた」
図書室で潤と定期テストの勉強中。
潤はスラスラとペンを動かして次々問題を解いていく。私の成績は真ん中よりも下にいる。
この高校だってギリギリ合格判定で入学したわけで。
「それで、どこが分からないの?」
「ここ、と。これ、と。あとは・・」
「ありすぎ。それに全部それ基礎問題だし」
図書室だから声を抑えているけど潤の声は呆れていた。私なりに授業は聞いてるのになあ。
「授業中に俺にメッセージ送る暇があれば勉強しろよ」
「勉強よりも潤が大事だもん」
「あのなあ・・・」
『 』
「これファーストキスなの。勉強してても潤でいっぱいなんだもん♪」
「・・突然すぎ」
「顔。赤いよ?」
「うるさい、誰のせいだよ・・・」
人の少ない図書室で初めてキスをした。幸せで、とろけちゃいそうだ。
「この問題解けたらまたキスしよ?」
「嫌だ」
「・・・潤てば、私が嫌いなんだ」
『 』
「潤・・・!?」
「その問題は難しいから一生かけても解けない。だから先にする」
図書室でキスしあうなんて不謹慎かもしれないけど、私たちの思い出の場所になった。
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