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――時折思う。
『失恋』とは悪いこと、可哀想なこととばかり思う人が多過ぎる、と。
ありとあらゆる媒体で、さも『青春の甘酸っぱい思い出』を装って展開されるその物語は、お涙頂戴を意識してか基本的に振られることを『失恋』としたがる。
それはおかしいと、僕は思うのだ。
考えてもみて欲しい。
失恋とは恋を失うと書くのであって……いや、確かに恋を失敗とも取れるかもしれないが、しかし、恋しい気持ちを失うのだと解釈するとするなら、自主的に好きじゃなくなってもそれは失恋と呼べるのではないだろうか。
だから僕の失恋は決して悪いことではなくて、前に進めるという意味ではきっといいことなのだ。
――そう結論付けたのが、高校二年生になったばかりの春だった。
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