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『学業を積み重ねれば昇進に繋がるでしょう?』
そんな安易な狐都の提案で決められた。
【学業の神】【昇進昇格の神】
俺が………、この二つの社の神だ。
『きっと、病になってからこの神社を知って来るのよね』
【無病息災の神】【病平癒の神】
狐里は自ら二つの社を請け負った。
【安産子宝の神】【美容の神】
同じ女の願いだからと狐都は気にすることもなく、途切れることの無い女の願いを聞いている。
そして、神として若すぎる水狐には【縁結びの神】 と【芸能の神】の兼業は無理だった。漸くは無理をしていたが、末の弟に任せることにした。
【芸能の神】には泉狐が抜擢された。
泉狐は20年前に生まれた末の弟。
産まれた時から“芸能の神”となる定めを受けた神である。
神の修行処か、人界で過ごす経験すら無い泉狐。
だが、産まれた時から芸能の神として定められた泉狐には“迷いも愁い”も無い。
神としての人生を楽しんでいる様に見える。
気まぐれにスペシャルな縁結びつけ、時折大スターを生み出している。
由って、この社も今時の儲かる社となっていた。
だが、神としての泉狐はやはり赤子と変わり無いのだ。そこそこ実力を持ち合わせた祈願者が宝籤の様な縁を手に入れてスターへの階段に辿り着いた。
登り切れるか、挫折するかはその者の努力でしかない。泉狐には願った者のその後の人生には全く興味が無いからだ。
これが各地の神社仏閣で繰り広げられ、力量不足の神が増えた現在の神の実情なのだ。
そうして、その神力に“見あわない社”を持つ神が増えた。
良くも……悪くも
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