心に響く鈴の音

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*** 社の前で篭を下ろし、一礼して鈴緒に手をかける。 “カラン……カラン” 青年は、鈴を優しく鳴らす。 二礼二拍手。 そして願いを唱える。 俺は、少し離れた場所からその姿を見ていた。 彼の願いとはどんなものなのか興味が湧いたのだ。 耳を澄ませた。 “リーンリーン…………” “えっ………?” 俺は、更に意識を彼に集中させた。 “リーン………リーン” 聞こえるのは、あの涼やかな鈴の音のみで彼の願いは聞こえては来なかった。 青年は願いを告げること無く深く一礼をしすると、篭を手に取りスタスタと歩きはじめた。 そして、境内の片隅に篭を置き箒を持ち社殿周りの掃除を始めたのだ。 篭の中から取りだした、ハケの様な小さな箒で社殿の柵の埃を払っていく。 落ち葉や参拝者が落としたゴミを拾い集めて、持ってきた篭に入れていく。 彼は黙々と掃除を続けた。 白狐達の社周りまで綺麗に掃除をしてくれた 既に二時間が経っていた 彼は全ての社に“礼”を尽くし 深く頭を下げて手を合わせる が、聞こえててくるのはあの涼やかな鈴の音 どの社のどの神にも彼は【願い】を唱える事が無かった。 白狐はそんな彼に声をかけた
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