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古より続く神社仏閣が数多並ぶ京都。
霊験あらたかな社から、怪しげな社までがそこに在る。
人目をはばかる様に存在する寺。
【縁切り寺】を訪れる 者は、現在においても後を絶たない。
【縁結び寺】は、結婚願望ばかりが奉納される時代となっていた。
“人の縁”、その本来の意味すら知らぬ者ばかり。
与えられし縁を切る。
そんな願をたてたならば、次に必要なものがある。
新たな縁を結ぶ事だ。
縁切りと縁結びは同時に願をたてなければ、縁の少ない人生を己が神に願ったのだと言うことになる。
そんな事にも気付きもせずに、縁切り寺だけを頻繁に訪れる者も居る。
そんな古来からの常識すら、今時の老若男女全てが知らない時代となった。
神社仏閣は既に、人の心の支えから違うものへと姿を変えていた。
【願いをを呟けば叶えて貰える】
そんな都合の良い場所となっている。
仕来り
礼節
何一つ理解せず、何一つ調べることも無い。
若者においては、ガムを噛みながら鳥居をくぐり、キャッキャキャッキャと大きな声で参道を歩く。
行楽地へ向かうかの様に、多くの笑顔が参道に溢れる。
社の前に着いたならば、頭を下げることも無く、手を合わせることも無く、競うように鈴を鳴らす。
そして己の好む回数手を叩き、適当に頭を下げて己の願望を口にする。
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