神の加護

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*** 「おや……狐舞の御大 。久しいの……」 狐舞神社の大神は、大社殿に上がり大国主命に挨拶した(のち)腰を下ろすと同時に声を掛けられた。 「おー、仁和(にんな)寺の(えびす)か 確かに久しいな」 東北の山奥の仁和寺は、七福神が護る小さな寺だ。 「留守居の神が何故ここに? 実りの秋に持ち場を離れても良いのか?豊穣の神」 大神が尋ねると、戎は朗らかな顔を更に崩して首を振る。 「いやいや、儂もそろそろ代替わりの時期じゃからな。 息子に留守居をさせてみた。 儂も後数年で自由じゃからな……」 その言葉に大神はため息を吐いた。 「そうか……、それは羨ましい」 そんなん彼を見た戎は、不思議に思い尋ねていた。 「何じゃ狐舞の……、お主の息子……えっと白狐だったか? かなりの潜在能力の神と聞いておるぞ。 お主も先は安泰では無いか………」 その言葉に又ため息が出る。 「それがの……、恥ずかしながらちと困って居るのじゃ。 どうしたものかと思ってな……」 「うん………?何じゃ……? 何か有ったのか?儂で良ければ話してみぃ」 狐舞の大神は、恥ずかしながらと白狐の境遇と今を話して聞かせた。
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