柵《しがらみ》からの解放

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*** 俺は、相変わらず鬱々とした気持ちを抱えたまま、己が社をただ護っていた。 何をするでも無く。 何を求めるでもなく。 ただ只管(ひたすら)、己が心に芽生えた疑問と三神弓弦のことを考え続けた。 答えの出ない堂々巡りに飽きてきた。 「よっ、と」 社の屋根に上半身を起こし胡座をかいた。 境内を軽く見回すと、4、5人の子供達が隠れんぼをしている。 “狐珀(こはく)” と、心で呼びかける。
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