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20分ほど田舎の空気と景色を楽しみながら歩くと、流石に汗ばんでくる。
ハンカチで汗を抑えて立ち止まったのは、1軒の藁葺き民家の前。
この辺りではまだ珍しくは無いけれど、久しぶりに見るこの風情はやっぱり好きだ。
豪邸でも無ければ、豪華な物など欠片も見えないただの大きな家。
けれど都会では、決して見ることの無い“壮大な家”がそこに在る。
長い垣根と標程度の門柱から続く開放的な庭。
縁側の軒にぶら下がる乾物。
広げられた ゴザには、何かが並べられている。
懐かしい風景に立ち止まる。
その“何でも無い風景”は自然と私の目尻を下げてくれる。
「誰だい………」
後ろからの懐かしい声に振り向いた。
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