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瑞希お兄ちゃん達とやってきたのは、海に囲まれたリゾート地。
宿泊先となる宿は、温泉が評判だという高級旅館。
咲耶庵(さくやあん)という数百年の歴史を持つ宿だった。
「いらっしゃいませ、獅子島様。」
「「「「「ようこそいらっしゃいました。」」」」」
「ああ、久しぶりだね、女将。みんなも息災か?」
「はい、おかげ様で。」
(・・・すごい・・・・)
左右両側から着物姿のスタッフさんから、いっせいに頭を下げられる。
デパートや百貨店の開店時の店員さんよりも、迫力のあるお出迎えだった。
なによりも、彼女達を従えている山吹色の着物を着た中年女性は・・・絶対偉い人だと思った。
「瑞希お兄ちゃん、なんか、すごいんですけど・・・・!」
「まぁ、伊織がらみだからな。そのうち凛も慣れるって。」
(時間がかかりそうだわ・・・・)
そんな思いで、女将さんと話し込んでいる獅子島さんを見ていたら、彼が話して言える相手と目があった。
「これはこれは、はじめてお目にかかりますね?咲耶庵(さくやあん)の女将の和島でございます。」
「え!?あ、は、はじめまして!いつも、獅子島さんがお世話になってます!」
「大きなお世話だ、凛道。」
「獅子島様、こちらは?」
「ああ。凛道蓮といってな、瑞希の弟だ。」
(え?)
「まあ、真田様の?」
獅子島さんのリップサービスに、女将さんがまじまじと私を見る。
それで慌てて、獅子島さんの方へ移動した。
「ちょ、だめですよ!苗字も違うのに、そういうウソはー」
「ウソではない。」
小声で話しかければ、変わらぬ口調で獅子島さんは言った。
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