第三帖 フェリシティ学園高等部における七不思議 考察偏

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 喜響とノワールは、そんな彼らを優しく、そして温かく包み込むようにして見守っていた。  彼らがそれぞれの特色を生かし感じた事を述べ合った後、喜響は妖怪『すねこすり』の視点から。ノワールは二股猫妖怪の視点から、彼らが述べた見解に補足なり指摘なりをするように自然に決まっていた。 「……以上が俺達の見解なんだけど、どうかな?」  琥珀は喜響とノワールに意見を求めた。喜響とノワールは互いに見つめあい、そして頷き合う。最初に喜響が口を開いた。 「皆よく読み取れてるな、と思ったよ。そうだな、僕からの見解を付け加えるなら、その③理科室の人体模型は、人間に戻りたくて目が合った人の心臓を抉り取ろうと狙っている。だから目を合わせてはいけない。その⑥音楽室は午後6時を過ぎるとピアノの音が鳴り響く。曲名は『パッヘルベルのカノン』。ピアノを弾いているのが誰なのかは不明。それを見てしまったものは、あの世へと連れて行かれてしまう。この2つは、理科室の人体模型君、音楽室のバッハとベートーベンの肖像画も何か悩んでるみたいだ、と感じた事と何か結びつきそう、そう思ったくらいかな」  と彼は述べると、次宜しく、というようにノワールに顔を向けた。 「……私からは特に無いな。いつも言うように、思い込みは禁物だ。あくまでも参考て程度にしっかりと調べて行こう。これくらいだな」  と優しい笑みを浮かべた。 陽月たちが学園の高等部に入学すると同時に喜響は入学し、陽月と同じクラスの1年B組に。ノワールは古典教師として就任して来た事になっている。だが、彼らは陽月達との出会いは、もっと前に遡る。
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