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喜響はじっと白百合のステンドグラスを見上げる。そしてすぐに笑顔で一同を見つめた。
「うん。このステンドグラス自体には何もないね。三人の見解の通りだと思うよ。ある意味、想定外の受け入れられない現実が起こった時、『そういえばあのステンドグラスの百合、黒だったかも! そうに違いない。ステンドグラスの呪いだ!』て思い込むことで安心するというか、そういう心理も働いていると思う。そういう意味では、このステンドグラスは人間から被害を被っている、という見方も出来るよね」
と朗らかに答えた。
「そうか。そうね、確かに。ステンドグラス自体は何も悪さをしていないのだから、そういう見方も出来るわね」
陽月はすぐに同意を示した。
「確かに、そうだよなぁ」
「そうね。言われて見ればその通りね」
続いて琥珀と萌音が相槌を打つ。
このように、琥珀は軽やかで明るい口調でサラリと話すけれども、その言葉の意味を噛みしめると今までとは違った視点で切り込みを入れてくる事が多い。三人は大抵何かしら気付かされ、考えさせられていた。
「そうだな。私も同じ見解だ。ただ、ここは少し負の念が溜まり易。気の流れのせいだな。この部分を少し調整して綺麗にすれば、流れは変わっていくだろう」
ノワールは静かに、それでいて深みのある声で纏めた。
「そっか。じゃぁ、浄化と気の流れの調整、お願いします!」
琥珀はそう言って、ペコリとノワールと喜響に頭を下げた。
「「お願いします」」
続いて萌音と陽月が声を揃えて言いながら頭を下げる。
「はいよ」
と笑顔で頷く喜響。無言で笑みを浮かべ、頷くノワール。彼ら二体は互いを見つめて頷いた。
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