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琥珀は少し鏡から離れ、時計を確認している。他のメンバーは、階段を下りて3階の踊り場から様子を見守っている。
「さぁさぁ、4時43分経過、4時44分40秒、41秒、42秒、43秒、44秒」
と、4時44分44秒を読みあげる同時に鏡に向き合った。じっと鏡を見つめる琥珀。しばらく鏡を凝視し続けた。メンバーもまた、鏡に注目する。ノワールと喜響は、琥珀に何かあればすぐに助けに入れるように体制を整えていた。
今のところ、何の変化も見られない。それぞれ鏡に注目し、しばらく待ち続けた。
5分経過した。随分と長い時間に感じる。シーンとした静けさの中、鏡を見続けていると……
(何だかじっと鏡の中の俺を見ていると、なんだか変な気分になるな。別の人格を持って話しかけて来そうだ)
と琥珀は感じていた。
……なんだかおかしな気分。鏡に酔いそう。平衡感覚を失いそうな……
陽月は軽く眩暈を感じた。勿論、それは錯覚だ。
(何だろう? 鏡の中にもう一つ、似て居るけどどこか違う、鏡の世界があるような気がしてくる……)
萌音も同じく少し酔ったような感覚を覚えた。
『ノワール、これって……』
『あぁ、あと一分ほど様子を見て、行くぞ』
『了解!』
喜響とノワールはテレパシーで会話を交わした。互いに頷き合うと、再び鏡を凝視した。
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