第五帖 フェリシティ学園高等部における七不思議 解決編

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 シーンと静まり返った廊下を、ゾロゾロと歩いて行く。誰も居ない教室はまだ外が明るいにも関わらずどこか寂しい。そしてどこか不気味だ。誰もが無言で歩いて行く。 「怖いね」  と口に出せば、たちまちに恐怖が全身を支配してしまいそうだ。 ……ノワールや喜響がついていてこれだけ怖く感じるんだもの。一人でいたらまずパニック状態になりそうだわ。まして暗くなってからなんか、尚更恐怖で押しつぶされそう……  陽月は感じていた。誰も一言も発しないで歩いていると、ひたひたと足音が妙に響く。 ……なんだか、足音が一人増えていそうな、そんな気分にすらなるわね……  なんとなく琥珀の背中に頬を押し付けてみたくなる。 ……何馬鹿な事思ってるのよ……  思わず頬が熱くなった。そのせいか、いくらか恐怖が和らぐ。 (なんだか先頭の喜響も、後ろのノワールも、もしかしたら幽霊といつの間にか入れ替わってたりしたら……)  萌音も恐怖の妄想が頭の中を渦巻いていた。 「さ、着いたよ」  喜響は理科室の前で立ち止まった。 「みんな、軽く恐怖に支配されてたでしょ」  と何でもない事のように言った。 「うん、なんかさ。途中からやたら怖くなったから、食べたいものとか思い浮かべて気を紛らわしていたよ」  琥珀はすぐに答えた。 「喜響とノワールがついているのに、なんだかやたらと怖くなったわ」  と陽月が続ける。 「私なんか、喜響とノワールがいつの間にか幽霊に入れ替わってたら、なんて妄想が浮かんだりしたわ」  と萌音。 「だって、途中から『妖怪オソロシヤ』が遊びに来てたもん。怖くなって当たり前だよ」  と喜響は朗らかな笑顔を見せる。 「「「『妖怪オソロシヤ』???」」」  琥珀、萌音、陽月が声を揃えて問いかけた。
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