4日目

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「サンダル飛ばすの好きだね」 前から声がして、反射的に顔を上げた。 ビニール傘をさした快晴くんが、サンダルを持って立っていた。 「なんで、なんでいるの」 「さあ?死んだらすぐ消えるかと思ったけど、消えなかった」 サンダルを私に返しながら、悲しそうに笑った。 「ごめんね、ずっと黙ってて。濡れるから入って」 「ほんとだよ。びっくりしたでしょ」 あとからあとから溢れてくるそれは、雨のせいだなんて誤魔化しきれなかった。 「泣かないの。さっきのもちゃんと見てたよ。教えたとこ直ってた」 「ほんと?あのね、今までで1番綺麗に踊れたの」 「踊りは綺麗だった。そのぐっちゃぐちゃの顔と髪、どうにかした方がいいよ」 「うるさいな!」 快晴くんは、可笑しそうにお腹を抱えて笑ったあと、私に傘を持たせてくれた。 「じゃあ、もういかないと。風邪ひくなよ」 「…っ、また、また会える?」 「美穂が踊るのやめなかったらな」 快晴くんは傘から出て、瞬きをした瞬間にふっと消えた。 跡形もなく消えた。 「ばか、まだ私言いたいことあったのに」 雨と一緒に降った桜は、ビニール傘に模様をつけた。
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