0人が本棚に入れています
本棚に追加
3日目
「おはよー、ちょっと寝坊しちゃった」
次の日、話がある、と言われたからTシャツと短パンに赤いサンダル、なんて部屋着みたいな格好で来てしまった。
寝癖もついたままだったけど、快晴くんだからまぁいいかな、と思ってそのままにしてきた。
「寝癖ぐらい直してきてよ。女子でしょ」
「えー聞こえない」
既にやってきて座っていた快晴くんの隣に、体育座りをする。
少しの間、黙りこくって落ちてくる桜を見ていた。
そう言えば明日の天気は雨だった。
気象予報士が、「花を散らす雨になるでしょう」とか言ってた気がする。
私のお腹の虫が鳴いたところで、快晴くんはようやく口を開いた。
「話なんだけどさ、明日美穂も葬式に来てほしい」
「え!?なんで?」
「なんで、って…美穂も知ってる人だから」
「誰?」
快晴くんは、行ってからのお楽しみだよ、なんて不謹慎なことを笑いながら言った。
お葬式なんて、私が幼稚園に通っていた時に参列しただけで、作法なんて何も知らない。
赤とかピンクとか、明るい色はダメだと聞いたことがある。
制服は赤色のチェック柄のスカートだから、黒いワンピースの方がいいんだろうか。
「分かった、覚えてたら行く」
「いや忘れないでよ。明日の午後1時だからね」
話が終わってすぐ、快晴くんは準備があるから、と帰ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!