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「美穂、何してるの」
「明日お葬式があるから、黒いワンピース探してるの」
衣替え用のタンスを漁っていると、母親が少し不思議そうに首をかしげた。
「あら、不幸があったのね…誰のお葬式?」
「さあ?来てからのお楽しみだって」
たんすの奥から、夏用の黒いワンピースが出てきた。
少し寒そうだけど、上着を羽織っていけばこれでいいだろう。
露出もダメだったはずだから、黒いタイツを履いていこう。
そう言えばお通夜は行かなくてよかったんだろうか。
連絡先が分からないから、聞こうにも聞けない。
明日交換すればいいか、と布団に入って、いつもより早い時間に寝てしまった。
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