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お葬式が終わると、私はお骨を拾わずに帰路についた。
花束に包まれて目を瞑る快晴くんは、たしかに昨日まで隣にいた。
だから、信じられなかった。
並木道に行けば、また会えるんじゃないだろうか。
家に帰ってから荷物を置いて、服を着替えずに飛び出した。
途中で止んでいた雨が降り出したが、気にせずに走った。
今日は珍しく、人が何人か並木道を歩いていた。
どんなに目を凝らしても、快晴くんはどこにもいない。
自然と、体は動き出していた。
勢いをつけて、一歩を踏み出す。
タッタッラタ、ラッタッタ
足を運ぶ。
タッタッラタ、ラッタッタ
靴の音を鳴らす。
雨が頬を濡らして、堪え切れなかった。
歩く人が私を怪訝そうな目で見るけれど、気にしている余裕なんてなかった。
腕は、こっちじゃなくて、こう曲げる。
足先は、もっと流れるように。
なんだ、ちゃんと曲がるじゃん。
痛くないじゃん。
踏切が見えたところで、また左足がフッと軽くなった。
飛んでいったそれは、黒ではなく赤だった。
間違えて、いつもの赤いサンダルを履いてきてしまったらしい。
うまく踊れた。今まで以上に。
それを快晴くんに、教えないと。
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