神々の存在意義

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数年前から、地球に向かう巨大な隕石群の存在が確認されていた。 人類は迫り来る巨大な隕石群に対してミサイルを打ち込んだり、地球上にシェルターを制作したり、他の惑星に移住しようとした。裕福な国は国民の選別を行い、優秀で恵まれた者に多額の費用をかけて生き延びさせようとした。貧しい国は何の対策もできず、国民はただ死を待つのみだった。多くの人は人間の無力さを誤魔化すかのように必死に神に祈り、人類の――地球の存続という奇跡を求めた。 しかし隕石群は無慈悲にも地球を直撃し、地球上の生物を殲滅させた。まだ十分な対応が出来ていなかった人類は一人も生き残ることは出来なかった。今は地球自体がその形を保てなくなりつつある状況である。 そんな中、神々は死ななかった。人類が絶滅し、信仰が消滅することにより消えるかと思われた神は生き延びたのである。 一神教の神も多神教の神も生き延びたため、一神教の神の存在に矛盾が生じた。人が拠り所とするはずの神であるのに人はもういないため、神の存在意義がわからなくなった。 しかし、万物を超越するとされる神は生き残ってしまったのである。
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