神々の存在意義

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「私は海の神なんですがね。もう海ないですよ、どうしよう」 「液体が確認される星に行ったらどうですか。何光年先かは知らないですけど」 「そんな星はレアなんですよ、簡単に言わないで下さい。でも私の方が酷いですよ。私は農耕の神なので、神としての役割を果たすには農業をする生命体がいる星に行かないと……」 神々は愚痴をこぼしながら宇宙空間を歩いていく。 「それにしても、色んな神様がいらっしゃいますね。皆さんを見てると、地球の人間がいかに自然を敬っていたのか、安心を求めていたのか、目に見えない存在を夢想していたのかがわかって面白いです」 「私達の誕生は人間に完全に依存しますから、神というのは多様なんですよね。人類が滅んでまで私達が生き残っているなんてのは予想もしませんでしたが」 立ち止まり振り返ると、隕石が衝突して真っ赤になっている地球がある。そこにある自然も文化も思想も、今はもう消えてしまった。 神々はどうして存在しているのだろう、とぼんやり考えながら、まずは太陽系を脱出することに決めて再び歩き出した。
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