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朱音は、姉紅子の和菓子屋が忙しくなると店を手伝っていた。
紅子が行くはずの注文の季節の和菓子を朱音は届けに行く。
そこは、お得意様の茶道教室のお宅であった。
玄関の呼び鈴を鳴らす。
優しそうな男の声で返事が返ってくる。
玄関の扉を開けたら、色白の背の高い男が現れた。
歳は朱音より、二つ三つ上であろうか?
「ご注文の品を届けに参りました。」
「ありがとうございます。」
朱音は、品の良い風呂敷に包んだものを手渡す。
「今日は、紅子さんではないんですね、貴女は、、」
「はい、姉紅子の妹の朱音と申します。」
「朱音さんですか、可愛らしい名前ですね、」
朱音は、結婚してから一度も*可愛らしい*と言われたことがないのでどう反応したらいいのか困っていた。
「もし、お時間がありましたら、手伝って貰えませんか?」
「えっ、なんでしょうか?」
その男は、玄関を出て、一緒に来て欲しいと言う。
大きな箱を持って、何処かへと行く。
朱音は、和菓子の箱を持って、男の後につづく。
中庭を通り抜けると茶室があった。
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