第一章 淫靡

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それから、お得意様のお届け物は朱音にお願いされていた。 円城寺さんとは、何度も顔を合わせるようになっていた。 今日もお届け物は、円城寺さんの所であったが住所が違う? その住所に行ってみると、表札に名前が無い! 七四五五と書かれてある。 確かにここの住所には違いないのだが? すると門が開いて、円城寺が現れた。 「場所間違えたかと思いました。」 「あぁそうだよね、ここには余り訪問客は来ないから、」 「そうですか?」 「まぁ、中に入ってください。朱音さん」 「はい、」 ちょっと古めかしい建物ではあるが、手入れが行き届いているせいか、 違和感を感じられない。 中庭には、小さな池があり庭園風の草木が生い茂る。 その中の座敷に通された。 そこは、10畳ほどの和室である。 座布団に座って、お届け物を差し出す。 「円城寺さん、こちらをどうぞ、」 「ありがとうございます。朱音さん」 「なぜ?このようなところへ、」 「今日は、朱音さんに相談にのって貰おうと思いまして、」 「相談ごとですか?お力になれるでしょうか?」 「その前に、お茶をたてますから、しばらくお待ちください。」
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