創世記

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 私が目覚めると、辺りには何も無かった。  無の世界は、日時や空間、数字すら存在しない。ただ、私の意識だけが存在した。  当時の私は、この有り余る気持ちをどう表現しようか迷っていた。心の中を整理するために、何か打ち込める物や目的が必要だった。  私は、何かを創造せざるを得ない気持ちを爆発させたかった。  後の世で、誰かが言うかも知れない。芸術は、○○だ! と。  さて、私は、完全無欠の存在だが、何かしら反応してくれる物が欲しかった。それは、良く言えば讚美する者、悪く言えば太鼓持ち、となる。  私は、見目麗しい物を作った。実体の無い聖霊は、天使と名付けよう。頭に光る輪っかを乗せ、背中に白い羽を与えよう。  天使は、ルーちゃん、ミカちゃん、ガブちゃん、と、呼ぶ事にした。
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