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全身が凍りつくような感覚だった。
……でも、俺は関係ない。もし、万が一俺のせいだとしても、誰にもわからないことだ。
美穂子は両親や会社に、俺の存在も、ここで暮らしていたことも話していなかった。
だから大丈夫だ。勝手に死んだ美穂子が悪い。
「っデェ~エーアッ。エエ~ェ、アァアー!デェ~エー……」
「ねぇ、何か変な声聞こえなかった?」
その日から、夜寝ている最中に、変な声が聞こえるようになった。
変な声、というか、歌に近いものだった。
民謡のような、妙な唸りのある、気味の悪いメロディ。
「デェ~エーアッ!エエ~ェ、アァアー!」
低い女性の声で、毎晩、それも日ごと回数が多くなっていった。
「気持ち悪いっ!私もう出てく!」
その歌に耐えかねて、新しい彼女は出ていってしまった。
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