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 屋敷に着くと『主』は、アタシをその腕から解放すること無く降車し、エントランスに向かった。  ん?  んん? 「『主』、そろそろ降ろしてくれ」  嫌な予感がして、アタシは我慢しきれずそう言った。なにせ、足にがんじがらめに巻き付けられた鎖がそのままだ。手錠みたくぶっ千切って壊せないこともないが、やろうにも鎖の破片が『主』に当たるので出来ない。  アタシの訴えに『主』はニッコリと笑って、 「このまま風呂に行くよ」  と言った。 「へ?」  風呂?  風呂と言ったか、『主』よ。 「じょ、冗談……だよな?」  思わず顔がひきつる。  アタシは風呂が苦手だ。 「勝手に居なくなったバツ」  言いながら、『主』の腕に力が入った。  本気かよ……! 「ちょっ、“犬”! アタシを助けろ!」  後ろから付いてきていた“犬”に助けを求める。  だが“犬”はアタシと目が合うなりプイッとそっぽを向いた。 「薄情者ぉ!」  アタシは風呂場にドナドナされ。  有無を言わさず洗われた。  しばらくはおやつを我慢しよう。  うぅ。(泣)
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