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「うん、書かれてる内容も御礼状だったよ。どうやらあの三人、先方の社内でだいぶ手に余る存在だったようだね」
『主』は言って、封書を再びデスクに置いた。
あ、それ、中は見せてくれないのね。
まぁ、どんなことが書かれてるのかは大体想像できる。たぶん、「始末してくれてありがとう」みたいなことが書かれてるんだろう。
しかし……そうなるとなんだか上手く利用された感があるな。
利用されたというか使われたというか。
例えば。
あの三人を始末するためにこっちに手を出させた──とか。
ライバル会社ならこちらの力量くらい知っているはずだしな。ありえない訳じゃない。
「余計な詮索は自信を滅ぼすよ、“猫”」
『主』が笑みを湛えた目でアタシを見た。
「べ、別に詮索してなんかないって」
ただ気になっただけだし。
「好奇心は猫を殺すというからね──ちょうど良い、このまま“犬”にはお前を見張っていてもらおうかな」
「ちょっ、冗談じゃな──」
アタシが反論を言い切る前に“犬”が両腕をアタシの前に持ってきて、ぐっ、と力をいれた。後ろから抱きつかれた格好になる。
「…………これ、見張りっていうか拘束じゃね?」
「ははっ、“犬”は素直でいいねぇ」
良くないっ!
思い切り叫ぼうとしたその時。
「──ん?」
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