3/6
前へ
/12ページ
次へ
「うん、書かれてる内容も御礼状だったよ。どうやらあの三人、先方の社内でだいぶ手に余る存在だったようだね」  『主』は言って、封書を再びデスクに置いた。  あ、それ、中は見せてくれないのね。  まぁ、どんなことが書かれてるのかは大体想像できる。たぶん、「始末してくれてありがとう」みたいなことが書かれてるんだろう。  しかし……そうなるとなんだか上手く利用された感があるな。  利用されたというか使われたというか。  例えば。  あの三人を始末するためにこっちに手を出させた──とか。  ライバル会社ならこちらの力量くらい知っているはずだしな。ありえない訳じゃない。 「余計な詮索は自信を滅ぼすよ、“猫”」  『主』が笑みを湛えた目でアタシを見た。 「べ、別に詮索してなんかないって」  ただ気になっただけだし。 「好奇心は猫を殺すというからね──ちょうど良い、このまま“犬”にはお前を見張っていてもらおうかな」 「ちょっ、冗談じゃな──」  アタシが反論を言い切る前に“犬”が両腕をアタシの前に持ってきて、ぐっ、と力をいれた。後ろから抱きつかれた格好になる。 「…………これ、見張りっていうか拘束じゃね?」 「ははっ、“犬”は素直でいいねぇ」  良くないっ!  思い切り叫ぼうとしたその時。 「──ん?」     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加