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 親玉みたいなのが出て来た。  鶴のように痩せた、尖った顔つきの男だ。  三人の若い男女を均等に見渡してから、おもむろに、初老の男に声をかけた。 「みごとに育ったものだな。彼らは自分がグロウロイドだと知っているのか」 「一号は知っている。二号は知ってるが、今イチよくわかってはおらん。三号は知らん。仮親も与えたし、多分自分を純正の人間だと思っておるだろうよ」 「フム……面白い」  女の士官~メガネの白衣美人だ~も来て、ロを挟む。 「三号の記憶に一部欠落があるのは何で?」 「それは何とも。ついきのうまでは一号とニ号を、恋人と、もと恋人だと思っていたようだが」 「結婚前提の性交渉まで持ったのよね。殆ど人間と同じ。バイオ素材だからかしらね。すごい出来」 「何で持ち出したんですかって……聞くだけヤボか。博士、あなたはグロウロイドに人権を与えよ派でしたね」 「人間だろうが。どこから見ても。心すらある。生殖も可能の筈じゃ。命と生まれて命として死ぬのじゃ。頼む、人間と思って……」
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