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「三百年生きる美しい人形ですよ? 最初から完成され優劣もない。こいつらを人間と認めたら、人類は一夜で滅ぼされてしまう。何より緒方博士、
こいつらはもともと軍用なんだ。戦争に人間が行かなくていいように作られたんだ。それが人間になったら、誰が戦争に行くんです」
「戦争をせねばいいだろう」
「でもって来年には二四〇億人類を養いますかこの星で! 既に月すら満杯なんだ。どうするんだあんた!」
「人権がやれないのなら、せめて火星を」
「駄目だ火星も地球人類のもんだ! こんな奴らに地球は渡さんっ。火器部隊!」
痩せぎすが軽く手を上げると、防護服を着用し、巨大な燃料タンクを背負い、火炎放射器の筒口を三人(三体?)に向けた一隊~防護服の中の顔は、一様に白いだけの能面。この面々もヒューマノイドだ~が出現した。
「とっ、父さんどういうこと? 俺、俺ら焼かれんの!?」
いちばん桜井(三号か)がオタついている。
美由(一号)が立ち、立木(二号)が立った。
「三号。あんたパパを」
立木が言ったのと痩せぎすが、
「放て!」
と叫んだのはほとんど同時だった。
炎の渦が三体と、初老の男を包む。
だが炎が止んだとき、三体と一人は全くの無傷、なだけでなく、正面に立った美由は強い視線を放ち、強力な念波のようなものを発した。
あたしたちの目に見えるほど強いその波動は、ヒューマノイドたちにこう命じていた。
私たちはあなたがたの同族だ。
もう人類の言うことは聞かなくていい。
私たちを守って脱出を手伝いなさい。
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