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 もともと能力の低いファヴィユが大きなカを放つわけだから、効力は薄~くペラペラの紙みたいになった。  その国の全員がそこはかとない幸福感だけを持つ静止状態となり……  先生がたがもとに戻すのに二百二十日と千魔力を要したそうだ。  あたしは同じミスをしたくない、というか、ファヴィと違ってあたしはもうちょい用心深い。  さあ沢村美由。  あなたを幸せにしてあげるわ!  あたしは美由の心の中にダイブした……  美由の心の中はまっ暗だった。  生徒も日常も、ペットの犬すら見えなかった。 (美由がペットを飼っているかは全く知らないのだが)  真っ暗闇の中を手探りで進むと、そこにーつのことばがあった。  『立木里沙なんて死んでしまえ』。  ずっ、ずいぶんな願いだな。  でもこれが彼女の幸せなら、かなえなければならない… (それも二十四時間以内に)  まずは立木里沙をさが……  いた。  保健室医か。  狭いっ!  ものごと狭すぎる! (けど広かったら移動だけでも魔法使わなきゃならなくなる。 神様ありがとうございます。ぺこり)  そっと保健室を覗くと、ドクトレス立木は診察席に坐ってデスクに頬杖。  美由と同じくらい憂鬱な表情をしている。  もしやこっちの心の中も…  と覗きたいけど、担当でない人間の心を覗くのは魔法。  使ったら一つ終了だ。  さあどうする。 「協力するか?」  この声。  まさかファノン!? 「当ったりィ」  みどりの髪、みどりの目。  ツインテに結んだ偉そうな…  ファノンはカラカラと陽気に笑った。 「偶然は怖いねえ。アタシが立木の担当で、アンタが沢村の担当だなんて。何か関係あるでしょこの二人」 「とても深く」 「心読むのにひと魔法使うの惜しいじゃん。教えたげるからそっちも教えて」  それは確かに得かもしれない。  同じだとわかりやすいし。  神様神様、二人とも同じ内容でありますようにー。  せーの、はあたしが言った。  けど内容は揃わなかった。 「沢村美由に許してもらいたい」  え?  あたしと同じくらいファノンは驚いている。 「死んでしまえなの?」 「許してほしいなの?」  二人してうーん…と唸る。  そして二人ともぽんと手を打つ。
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