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二
校庭の桜の木の枝に並んで坐る。
「桜井問題だね」
「桜井問題だ」
「男だね」
「男だ」
「そりゃあ死ねだわ」
「そりゃあ許せだわ」
では、幸せは?
「仲直りか?」
「破談か」
「宝くじでも当ててやるか」
「あまりにも漠然でしょうそれ」
「当てることは出来るよ? フィニー、フィニフィー、フィリフィフィー……」
「ストップ!」
あたしはファノンを激睨む。
「お金じゃない」
「お金だよー」
誰、か、わかるこの声……
「ヴィミニー?」
「当ったりィ」
(何でみんなこのリアク?)
上の枝からぶらんと、鉄棒ぶら下がりの要領で現われたのは、あおの髪、あおの目、ヴィミニー31世だ。
「ボクの担は金ほしくってうずうず」
「何でここにいンの」
「担がもうすぐこっち来るから。あ、来た」
あたふたと走ってくる、スーツ姿の男。
顔見てあたしとファノンがあっとなる。
桜井通……!
金がほしい桜井通。
結婚せかされてる立木里沙。
立木恨んでる沢村美由。
この図式。
こんどこそ事情は明々白々だろう。
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