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桜井通と立木が言い争ってる。
だから私は美由を泣かせてまで、結婚なんかしたくないの。
そんなこと言ったって、俺たち約束したじゃないか!
ごめん私、あなたと結婚できない。
ていうかしたくない。
あんまりだ!
俺めいっぱいあいつになじられたのに。
甘んじて受けたのに。
里沙、おまえってサイテーだよなっ!
なじってなじってなじり倒して、桜井通は去って行った。
殊勝な顔をしていた立木が、つと顔を上げる。
笑っている。
満面の笑顔だ。
「やったああっ! 電話電話!」
指輪フォン手にする。
「コール短縮01」
呼び出している。
相手が出た。
「美由~! OKだよ。今日行っていい?」
美由!?
返事もなく相手は電話を切ったが、立木の笑顔は全然崩れない。
あたしたちはただ茫然とうかれる立木を見ている。
三時間後なんて生ぬるい。
もっとじっくり見ないと……
夜半。
あたしたち三バカトリオは美由のマンション前に再集結した。
その時間までには、相当なことがわかっていた。
主としては、フラレ男の愚痴からだ。
*
「美人二人だから目移りするの当然じゃんか。それでもちゃんと選んだんだ。美しいだけの陶器人形より人肌元気女。式場まで決めたのに、女ってやつはよォ……」
*
泥酔の愚痴をたっぷり聞いてきたヴィミニーは、肩をすくめて言った。
「ボクあんたらから離脱っ。失恋の痛みとか忘れさせてオッケーにする」
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