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夜が明けた。
地上に降り立ったのが昼頃だったから、あと三時間ほどしかない。
二人は結局一つベッドに寄り添って寝たけど、別段アヤシゲなことも起きなかった。
「ユリじゃないのか」
少し残念そうにファノンが言う。
「ユリであってほしかったの?」
「そうかも。だってわかりやすいじゃん」
ファノンは深々ため息をつく。
「じゃあ何だろう。姉妹?」
「顔似てない」
「似てない姉妹もいるじゃん」
「いるけど」
血のつながりとかでない、何か全く別のつながりを感じるといえば感じる……
二人でああでもないこうでもない言い合ってる間に、立木と美由は学校ヘ行くための身づくろいを終え、二人してマンションのエレべーターを目指していた。
はるばる一階からエレべーターが来る。
二人を迎えに。
二人を迎え、そのまま連れ去ろうとする人々を乗せて上がってきた……
二人は黒背広の男たちに取り押さえられ、エレべーターに押し込まれ……
二人はその日、終日学校には現われなかった。
あたしとファノンは連れ去られる美由たちについて行った。
着いたところは研究所みたいな施設だった。
あたしたちに現世の質量があったら、決して中には入れなかったろう。
それほどにセキュリティチェックは厳しかった。
二人が連れて行かれた部屋には一人、既に初老の男が連行されていて、美由たちは彼を見てあっとなった。
「お父様。どうしてここに」
「あんたたち何でパパまで運行してるのよ」
言ってから互いにあっとなる。
「パパ?」
「お父様?」
「何でこの方(この人)があなたのお父様(パパ)なの?」
互いに完全に驚いている。
ファノンが私を見る。
姉妹じゃん。
違う、と私は首を振る。
もはやそういうレベルじゃない何か。
この状況はもはや異常以外の何ものでもない。
そこに桜井通も連行されてきて、男を見て戸惑う。
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