プロローグ

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プロローグ

 突然だが、みんなに聞きたいことがある。  この世界はつまらない―――――――――  そんなことを思ったことは無いだろうか?  きっと多くの人間が、一度は考えたことがあるだろう。  かくいう俺もその一人なのだが……。  では、どうしてそんなことを考えてしまうのだろう。  その理由は至ってシンプル。  何も起こらない毎日に飽き飽きして、特別じゃない毎日を過ごす自分が、同じく特別じゃない人間だと知ってしまっているからだ。  誰だって、自分を特別扱いしたいものだ。  自分には才能があって、何か特別な意味をもって生まれてきたのだと。  でも実際はどうだ?  自分の人生は、そこまで劇的か?  そんなことはない、在り来たりな日常、変わらない平穏、一定のリズムで過ぎる時間……  もう分かっている、ウンザリするほど実感している。  自分は特別じゃない、この世界では何者でもないということを……  だから俺は思い描く、ここではないどこかを……  自分が特別になれる、そんな世界を――――――――――――
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