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第三話 『白縫はつね』
風が草木を揺らす音が聞こえる。
肌に触れる冷たい風が、心地よく感じられた。
目を開けなくてもわかる。
俺は、新しい世界にきたのだ。
人の声はなく、周囲は草木や風の音だけが聞こえる。
心地よい風と、落ち着く音を堪能するため、もう少し目を閉じていようかな・・・
そんなことを考えていたときだった。
「何してるの?
こんなところで・・・」
どうやら、誰か近くに居たらしい。
それは、どこかで聞き覚えのある声だった。
そうだ、この声は世界の・・・
その声は、確かに彼女の声だった。
ついさっきまで聞いていたのだ、間違えるわけが無い。
俺のことが心配で着いてきてくれたのだろうか?
そうだとしたら、ずっと寝てるのは申し訳ない。
そう思って、俺は目を開けた。
「なんだ・・・ここ・・・」
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