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世界樹編 第1章 世界樹に住む少女 第一話 『邂逅』
今まで体験したことのない不気味な静けさで、俺は目を覚ました。
目を開けた時、目の前に飛び込んできた光景は、真っ暗闇だった。
いや、この場合は真っ黒で何も無い空間というのが正しいのだろう。
なぜなら、その中でも自分の姿ははっきりと見えている。
決して光源の有無で見えていないわけではないからだ。
本当に何もない空間。
自分以外はいないと断言できるほどの静けさが、そこにはあった。
おそらくこれが、本物の【無】というものなのだろう。
目の前の見える景色の分析が一通り終えたところで、また新たな疑問が浮かんだ。
なんで俺はここにいるんだ……?
普通、こんな状況になったらまず最初に頭に浮かぶものだろう。
俺は目の前に広がっていた未体験な風景に心を奪われ、そこに辿り着くのが少し遅れた。
そして、自分が置かれている状況の分析を始めた。
この場合、最も可能性の高い答えは夢だろう。
しかし、その回答が不正解なのだと、俺はすぐに結論付けた。
その理由は、あまりにも感覚がリアルすぎるからである。
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