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十三歳年上のたもっちゃんと一緒の学校に通えると思って、猛勉強して受験に合格した私は最初こそショックを受けた。……でも、今年は担任を受け持ってもらえているし、毎日ある数学の授業中はずっとたもっちゃんのことを見つめていられるし、ホントこの学校に決めて良かったと思う。
それに、去年は真ん中ぐらいだった数学の順位が今年は学年で十番以内に入ったものだから、両親もたもっちゃんには凄く感謝しているらしい。……私が努力した結果だと思うんだけどね? そこは特に褒めてもらえなくてちょっと悲しい。
でも、たもっちゃんが褒めてくれたからそれでいいんだ。そのために頑張ったようなものだから。
ただ――最近の私には少しだけ悩みごとがあった。
「おはよー」
「おはよう、美優」
学校に近付くにつれて、見覚えのある顔をちらほら見つける。その中にゆきちゃん――同じクラスの松井雪奈の姿を見つけて私は駆け寄った。
「あ、またグロスつけてる! 先生に怒られるよ?」
「違いますー、これはリップですー」
「色つきリップでしょー?」
「まあね。ちょっとでも可愛く見せたいもーん」
「美優は十分可愛いよー」
「まだまだダメだよー!」
そう私なんてまだまだ……。でも今はまだ無理だけど……この学校を卒業して先生と生徒じゃなくなったら、言おうと決めていることがある。
子どもの頃から、たもっちゃんのことが大好きだと、付き合ってほしいと伝えたい。
そしていつかは――。
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