プロローグ

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プロローグ

 あるところに一人の魔王と、一人の勇者がいました。  さて、ここで問題です。  この二人が出会ったら何が起こるでしょうか?    正解はもちろん……  戦いが始まります。  どんな世界、どんな時代でも、それは変わりません。  この両者が戦うことは、もはや変えられない運命なのです。  本当にそうですか?    ―――――とある世界で――――――    「終わりだ!」  「グハッ・・・・」  勇者の聖剣が、魔王の心臓を貫く。  ここはとある世界の魔王城。  そして、そこにいるのは、この世界の魔王と勇者だ。  二人は戦い、今決着がつく。  「愚かだな・・・」  致命傷を受けた魔王が、血を流しながら勇者に言う。  「その身体では、貴様も死ぬぞ?」  魔王を聖剣で貫いた勇者だったが、  これまでの激しい戦いで、その肉体は限界を迎えていた。    「かまわない   魔王・・・お前を倒すことが私の・・・・   勇者の使命だ」  勇者は魔王から聖剣を抜き、地面に落とした。  もはや、聖剣を持つことすらできない。  対する魔王も、聖剣の抜かれた傷口から、大量の血が流れる。  今にも意識が飛びそうだった。  「その使命は・・・・今果たされた・・・・・   だからもう・・・・・勇者(ワタシ)はこの世界には―――――必要ない」  そう言うと、勇者は膝を付いた。  かろうじて意識は残っているが、立っていられない様子だ。  それを聞いた魔王は、小さく笑う。    「必要ないか・・・・・   それではまるで、貴様は我を倒すためだけに生まれてきたようではないか?」  「その通りだ   私は貴様を倒すために生まれ、育てられた   それ以外は、何も無い」
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