転生魔王と生徒会日誌 ―転生しても勇者一行からは逃げられない―

一学期 第1頁 魔王、勇者と再会する

　　「おまたせしました
　　これより第66代生徒会長選挙の結果発表を致します！」

　壇上の女生徒は、全校生徒の前で高らかに宣言する。

　「今回、過去最多となる10名の立候補者が現れましたが、
　　他の9名を大幅に上回り、断トツの投票数を獲得し、当選したのは――――」

　一人の生徒が、壇上に姿を現す。

　「一年一組　　竜胆(リンドウ) 優魔(ユウマ)　さんです！！」

　始めまして皆さん。
　今しがた紹介に与りましたリンドウ ユウマです。
　来年度から生徒会長になります。
　こんなんですが、

　元魔王です。

　遡る事16年程前。
　とある世界で魔王をしていた俺は、勇者に敗れた。
　それからすぐに、俺は復活を遂げた。
　いや、正確には復活ではなく、転生だった。
　今思えば、こんなにも早くこの世に帰ってこられたのは、
　死ぬ直前、勇者と交わした奇妙な約束があったからだろう。
　これで約束を果たすことが出来る。
　そう思っていた――――

　しかし

　目覚めた俺は、すぐに絶望することになる。
　なんと魔王は人間の赤ん坊の姿に転生していたのだ。
　しかも、それだけじゃない。
　見慣れない景色に、聞きなれない言語。
　生まれ変わったそこは、以前の世界とは別の、異世界だったのだ。

　まったく予定と違うではないか？
　どうやら以前の力も使えない、加えて赤ん坊のままでは、まともに動くことも生きていくこともままならない。
　こうなっては仕方がない、成長するまでは我慢するとしよう。