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読み終えた私は、ただ、涙が止まらなかった。どこからこの涙が流れているのだろうと思うくらいに、顔面はぐしゃぐしゃで、溢れても溢れても、涙は一向に止まる気配を見せなかった。
どうして。
何も考えられない。真っ白になってしまった頭。空っぽになってしまった心。いなくなってしまった光揮の代わりは、誰ができるというの。誰にもできないんだよ。どうしていなくなっちゃうの。
信じられないよ。信じたくないよ。本当は何処かにいるんだよね。私、光揮が生きてさえいるなら、浮気してたってなんだっていい。お願い、自殺したなんて嘘だと教えて。光揮に会いたい。光揮に抱き締められたい。光揮の声を、聴きたい。
ガタガタと震える手で、電話をかけた。声がまともに出るなんて思ってない。でもどうしても、確認したかった。光揮の言ったことは嘘だって思いたかった。
「美春、です、けど……」
「美春さん、どうしたの?!」
「光揮が、自殺した、なんて……うそ、ですよねぇ………………?」
電話を出てくれた光揮のお母さんは、何も答えてくれなかった。その瞬間、私はいよいよ突きつけられたのだ。お母さんが吐いた嘘の中身と、残酷な現実を。
手から受話器が滑り落ちる。どれだけ号哭しても、気持ちは晴れない。光揮が浮気したなんてただの作られた嘘で。お母さんは光揮が自殺したことを知っていた。私にそれを隠そうとして、あんな嘘を吐いたのだ。
どうやって息をするの。どうやって歩いていくの。何も分からなくなりそうだよ、光揮。
光揮はもう、この家に帰ってこない。それなら、あぁ、いっそ。
光揮のお母さんの言ったことが本当で、何処かで浮気しているほうが何倍も、何十倍も良かったのに。
「さようなら、なんてっ……書いて勝手に、逝かないで、よぉ…………!!」
私を幸せにできるのは、光揮だけだったんだよ。
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