第1話 樹木屋

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そして俺が17歳の誕生日に親父は自分の能力をお前に引き継ぐと宣言した。そんなことが可能なのか?とその時は思ったのだが、実にあっけなく能力の引き継ぎは完了した。母さんが俺と親父の間に立ち、右手を俺に、左手を親父に差し出す。2人がそれを掴むと、母さんは目を瞑って何事かを呟いた。グッと体に力がみなぎると同時に、途端に訪れる万能感。それが、能力を引き継いだという合図だった。それから親父は能力を全く使えなくなり、俺は能力が使えるようになった。と言っても、親父のように使う事はできず、今はまだ親父の劣化版という感じだ。時期に体に馴染むそうなので、それは待つしかないだろう。後に思えば、この日が俺の人生を波乱へと巻き込む最初だったのかもしれない。
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