64人が本棚に入れています
本棚に追加
第2話 リンク
「兄さん!木の裏にいるよ!」
ベゼがりんと響く声で盗賊がいる場所を伝えてくれる。俺自身も分かっていたので、ベゼと同じ結論あることも合わさり、予想が確信に変わる。敵の姿は見えないが、それは俺の戦闘の上ではなんら障害にならない。位置さえ分かっていれば、俺の攻撃は必ず通る。
「了解。任せて」
俺は剣を振り上げると、腰を低くしてグッと溜めを作り、跳躍して盗賊との距離を詰める。
木の裏に着地すると、ギョッと体勢を崩した盗賊と目があった。
俺との距離は約2m、剣が届く距離ではないが、俺は迷わず剣を振るう。
ブンッと空を切るような音を残し、森自体のピタリと音が止んだ。正確には止んだ、というより止めた、と言うべきだろうか。
「ぐっ、一体どうなってる…っ?!」
盗賊が自分の足元を見ると、太い蔓が足に巻きつき離れなくなっていた。まるで森全体が盗賊に意識を集中させているかのように、葉さえも音1つ立てずに静まり返っている。
「去れ」
俺は出来る限り威厳を放つような口調で短く言い放つ。
最初のコメントを投稿しよう!