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「帰りましょ、今日の夕食はビーフシチューなんです!」
手をパンパンと払いながら、ベゼは花のような笑顔を浮かべていた。今回は新作料理のようだ。そのせいかどことなくソワソワしながら俺に帰りを促す。
いつの間にいろんな料理作れるようになったんだ?最近ほんとにレパートリが多くなっている。出来る妹を持つ兄は幸せである。
「すごいなゼベは。でも、もう少しリンクの方も練習したらどうなんだ?」
「う…ちゃんと練習してますよ!」
プンプンと怒り頬を膨らますベゼとハムスターを重ねて吹き出してしまった俺に、ベゼの頭突きが飛んできた。
「ほら、リンクやってみろ」
俺はゼベをそそのかす。
「わかってます、〝リンク〟」
ゼベは強く森をイメージして目を瞑る。すると、ぼんやりと森の全体像が見えて来て、そこで途切れてしまった。
「ハァッ…ハァッ…」
ゼベは苦しそうに深呼吸を繰り返す。
「おい、大丈夫か?」
俺は少し心配になって声をかけた。
「うん、でもまだまだ練習は必要みたい。」
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