第1話 樹木屋

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場面は移り、俺が適当なお菓子を買って家に帰る途中の記憶に変わる。 「無駄に金使っちまった。あん時逃げなきゃ良かったかな…」 頭をポリポリと掻きながら、俺はそんなことを考える。なんで親父には素直に話せないんだろう…俺は今の自分が好きじゃなかった。親父が嫌いなわけじゃ無いのに、好きだと伝えるような行動をする事が小っ恥ずかしくて出来ない。かといって露骨に嫌いだという態度を取る気にもなれず、毎日モヤモヤとした気分であった。今日は帰ったら大事な話があるみたいだし、しっかり話し合ってみようかな。まだ焦る必要はないと、自分に言い聞かせる。焦って空回りすることが行動において最も無駄である事は、仕事をしていてよく分かっていたから。俺は冷静に、親父と何を話そうかという事について頭を悩ませる。うーん…思い浮かばない!何を話せば良いのか、俺には全く分からなかった。速攻で諦めムードに入り、俺は考えることを放棄した。大体親父が話しかけてこないのがいけないんだ…と、責任転換まで始める始末である。そんな無駄な葛藤を心の中で続けていると、いつの 間にか禁呪の森が見えてきた。
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