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呼吸が荒くなり、額を伝う汗の量が途端に多くなる。ドクドクと脈打つ鼓動は体全体を大きく揺らして思考を鈍らせた。
それでも動き自体が止まる事はなく、着々と同じスピードでドアは開いていく。鈍り引き伸ばされた時間の中でゆっくりと確実に、1秒が永遠にも感じる時間の中で見えてきたのは、背中の一点を中心に広がる真っ赤な染み。その中心には、部屋の照明で鈍い光を放つ一本の長剣が突き刺さっていた。長剣に体を貫かれて横たわる顔にもはや見間違える余地はなく………
「お…おや…じ…?お…おい……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あああぁぁ~!!」
「ぎゃあああ~!!」
バッと飛び起きると、そこはどうやらベットのようだった。まだ頭が強く痛む。
自分で左右の手でピースを作り、頭の中で4と数える。ふむ、数は数えられるな?いや自分で作ったんだし当たり前だろ!自分でこれをやる奴がいるとは驚きだった。いや俺がやったんだけれども。
なんで寝てるんだ俺…さっきは確かおっさんと話してて、
そこまで思考がまとまってきて、やっと気付いた。そういえばさっき〝ぎゃあああ~〟って聞こえたような。
横を向くと、未だビックリした表情を壊さずに俺を凝視する少女と目があった。
「ベゼじゃないか、ごめんなビックリさせて」
声をかけて見たが反応がない。
「お~い、ベゼ~?」
目の前で手をヒラヒラとさせるがまぶた1つ動かさない。ん?まぶた1つ動かさない?
「お、おい!大丈夫か?!」
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